Linux標準教科書ver2.0.0 第1章 Linuxとは(2)
前回
今回はUNIXの誕生からはじまります。
Ken Thompson氏は今日のwebインフラ創世神の一人と言っても過言ではないと思いますが、
最近になってもgolangの開発に携わっていて、まだまだ現役なんですよね。
OSの作り手としてコンピュータの誕生から今日までの歴史を見ている訳で、コンピュータを達観しておられることでしょう。
1.2 UNIX
1.2.1 UNIXの誕生
- 1960年代にUNIXは通信会社 AT&Tのベル研究所で誕生した
- 当時ベル研究所では先行研究として、MULTICSというOSが開発されていた
- 研究者であるKen Thompson氏が研究所の片隅で使われていないコンピュータを発見し、自分で考えた機構を試験運用するために小さなOSを搭載したのがUNIXの始まりと言われている
- MULTTICSはあまりにも多機能・高機能を目指したため、研究開発が頓挫した
- Ken Thompson氏は、自分が作った小さなOSに、MULTICSの機能を取り入れUNIXの原型となるOSが作られていった
- UNIXは非常にコンパクトで小回りも利き、さまざまな実験プロジェクトにも用いられるようになった
- AT&Tで文章構成のソフトウエアが必要になった際に、分譲構成ソフトウエアを動かすためのOSとして用いられた経緯もある
- 当時AT&TはUNIXを商用として考えていなかったので、送料・メディア代等の経費を支払うだけで、自由に利用を許可していた
- さらに、ソースコードといわれるUNIXの設計に関する基本部分をそのまま配布していたので、手に入れたユーザは独自に研究・開発・変更等を行う事が出来た